まだ、まだ。
まだだめ。
まだ私は、君に何も伝えられてないのに。
こんな所で、終われないのに────
「・・・・ッ!!!」
黒い煙が、その身を包んだ。
胸が、熱い。
朧になる総悟の面影を必死で捉えながら、声にならない声を叫ぶ。
如何して、そんなに叫んでいるの?
何故、そんなに苦しそうなの?
何で、泣いているの?
「そ、うご・・・・・・?」
「ッ!!今、救護隊呼ぶから、待っててくだせェ・・・!」
顔面に紅い花を咲かせながら、そう叫ぶ総悟。
蜘蛛の巣のように、胸の辺りから血が伝っていくのが分かる。
あぁ、もうダメなんだな。───そんな諦めと、
私は、何も出来なかった。──そんな虚しさが胸を締め付けた。
「総悟、もう、いいよ・・・・ッ」
「・・・・ッ」
最後の力を振り絞って、は呟くようにそう言った。
声を出すことも、億劫になってしまうくらい、何も出来なくなってきた。
それでもまだ、伝えたい言葉はたくさん、たくさん溢れ出す。
指先から、言うことを聞かなくなってくる。
もう、貴方のところへ駆け寄ることの出来る脚は無い。
もう、貴方を見つめることの出来る、瞳は無い。
もう、貴方を抱きしめることの出来る、腕は無い。
ただ、私は残されたモノを使って、微笑むだけだった。
「、俺は、」
泣き叫びながら、総悟はをゆっくりと抱き寄せる。
冷たい指先も、今は温かく感じる。
この腕が千切れても、感じるくらい、優しい温かさだった。
「総悟」
最後に、貴方の名前を呟いた。
全ての想いを、託すように。
───総悟、私は、
───貴方のことを、
───────愛してるよ。
貴方の温もりを、焼き付けて。
閉じてゆく呼吸を、訊きながら。
ただ、手をあなたにのばして
(Cyd : 滲んだ瞼の裏に、貴方が見えた。今、虚しさの壁の向こう側へ)
イメージソング : ただ手をあなたにのばして
アーティスト : より子