灰色の雲が広がっている。



どんよりと重だるい空気の中、は気だるそうに自室で仕事をしていた。





「・・・気だるいのはこの天気のせいだ、絶対そうだ」





そう、自問自答を繰り返しながら、カリカリと書類にサインしていく。



一文字書くごとに、重々しい空気はに圧し掛かっていく。



限界だ、こんなもん。今日中に仕上がるわけが無いだろうが!







バーン!と持っていたペンを机にたたきつけると、瞬時に体を障子の方に切り替える。





「・・・逃げるんじゃない、休憩するだけだから!」





誰に言うでもなく、万遍の笑みを零しながらハッキリというと、

障子をガラッと開け放つ。











「・・・・・・・・・・・・・あ。」



・・・仕事はどうした?」





今の行動を見透かすかのように待ち構えていた副長、土方は



口元を引きつらせながら煙草の煙を吐く。





「私は行かなければ!そこに休憩が待っているのだから!!」



「要するにサボりたいだけだろが、つか何カッコいいこと言っちゃってんだァ?」



「は〜な〜せ〜!!人生だって休憩は必要なんだ! は・な・せ!は・な・せ!さっさとはなせ!シバくぞ!」



「ちょっ、俺仮にも上司だからァァァ!何シバくとか言っちゃってんだよォォォォ!!!」















言い合いもさながら、土方はの腕を掴むと自室に引きづりこむ。





「今日までの書類、サインだけでも終わらせろよ」



「はいはい、やってあげますよマヨ・・・副長」



「今マヨって聴こえたけど気のせいだよな、」



「気のせいですよ。何なら総悟くんに良い耳鼻科でも紹介してもらったら如何ですか?」



「アイツは信用ならねェよ」





机の隣にドカッと座り込む土方を横目に、泣く泣く机に向かう



はぁ、と1つ溜息を吐くと、書類に手を伸ばす。





「・・・しょうがねェから、少しだけ手伝ってやるよ」







──ガタタッ





「いや、何お前、何その意外そうな目。」



「え、だって、あの副長が心優しきお手伝いをしてくれようとしちゃってんですよ?!

 驚きますよ、そりゃあ!!敵を全部無視して1面クリアしちゃうくらい驚きますよ!!」



「驚き加減がわかんねーよ!!何そのマリオ的な方程式?!・・・・ったく」





そう言いながらも、無言で手伝ってくれる土方を見て、



は少なからずとも、ぎこちないが副長なりの優しさを知った。



鬼にも、こんな顔があるんだ、と。








世間では『鬼の副長』と恐れられている副長。



ホントは鬼なんかじゃない、そういってやりたい。



それでも副長はそういう「影」の仕事を引き受けてくれて、自ら『鬼』と化している。



それだけが、心苦しくて。



私たちを守ってくれているのに、私たちは守れない、そんな虚空の世界。







「・・・・副長、あんまり何事も抱え込まないでください」



「オイ、何だァ急に」



「副長は、一人じゃないんです、もっと、頼ってもらっていいんです」



「・・・俺は、苦に思っちゃいねーよ。皆を守ることも、、お前を守ることも」







そう言う土方の顔は、とても穏やかで。



「鬼」なんて言葉は、似合わないくらいだった。







「・・・ちょっと、顔洗ってきます」







今にも泣きそうな顔をして笑っているは、スッと立ち上がるとそのまま襖のほうへ向かう。







「土方さん、ありがとうございます」







一度振り返りそう言うと、足早に自室をあとにする。



ひとり取り残された土方は、煙草の煙を1つ吐くと、さまざまな感情に浸っていた。







「アイツに心配されちゃ、終いだなァ・・・」







呟き、の座っていたほうを見る。



まだの面影が残っているような、安堵感。



さて、書類を片しますか。



・・・・・・・・・・・・・・・・って。







「待て待て、何で顔洗いに言ったのにタオルがあるんだ?そして何で俺の財布が無いんだ・・・?」







予想外の展開。



泣き落とし作戦。



脳裏に浮かぶのは、あの一言。







『土方さん、ありがとうございます〔副音声:ごちそうさまです☆〕』























































(Cyd : 全ては、休憩のために。)