どうしても、あいつだけは、
俺が今までに出会った姫君たちにはいない
そんな力を持っている気がした。
・・・まぁ、龍神の神子っていうのもあるんだけど。
そういう力ではない、もっと身近なもの。
「ヒノエくん、何してるの」
そんなことを考えていたら、が声をかけてきた。
陽に当たって光る綺麗な髪を揺らしながら、首をかしげている。
「いいや?姫君をどうやって振り向かせようか考えていただけだよ?」
「またそんな・・・。そんなことばっかり言ってると、いつか誰かに言われるよー、
「それ、皆に言ってるでしょ?」って」
「それは本望だね、嫉妬ほど心地いいものはないからね。
それに、これはだから言えるんだよ」
そう言って壁に追い詰めても、動揺するような仕草さえも取らない。
ただ、厭きれたようにため息を付くと
スッと俺から抜け出して困ったように笑うんだ。
「それは、私じゃなくてもっと大切な人に言わないとー」
俺の大切な人はだけだよ、
そう言おうとして、声が出なかった。
の笑顔が、言わないで、と言っている様だった。
「・・・っと、こんな事してる場合じゃないね、
夕飯じゃない?そろそろ・・・」
夕日の差し出す光を仰ぎながら、はそうつぶやいた。
「・・・」
気が付いたら、俺はを抱き締めていた。
「ヒノエ、くん・・・ッ?」
「俺は、欲しいモノは手に入れるよ
・・・例えそれがでも」
抱き締める腕に力が入る。
「俺を虜にしたこと、責任取りなよ?」
2つの影は、やがて1つに繋がった。
震える背中は俺にとって、痛々しいものでしかなかったけど。
「・・・悪いね、泣かせるつもりは無かったよ・・・」
否、泣かせてしまうだろうとは思っていた。
それでも、想いを伝えたいという気持ちは抑えられなかった。
「・・・怖かった、」
初めて、が口を開いた。
「なんでだろう、嫌い、って言われるのが・・・すごく怖かった」
ここからじゃ、君の泣き顔さえも見ることは出来ないけれど。
は俺の腕から解放されると、潤んだ目で真っ直ぐ俺を見る。
「・・・・責任、取らせてください」
そういうと、は自然と笑顔になった。
嗚呼、は普通の、女の子だったんだ。
特別な力を持ってるわけではない、何処にでもいる、女の子。
知らないうちにお互いが惹かれていたから、錯覚してしまったんだね。
「あぁ、よろしく、姫君・・・」
君のお陰で、俺はようやく解ったようだよ
(Cyd : アレだ、ヒノエは弱気なのがいい。(何様 )